自然界に存在する天然ウランは、本来地中の深いところに眠っています。この天然ウランにはウラン235とウラン238が混じっています。ウラン235は全体のほんの0.7%しかなく、これを3〜4%になるように濃縮したものが濃縮ウランで、原発の燃料にしたり、さらに濃縮したものは核兵器用のプルトニウムになります。この濃縮の過程で大量のウラン238がゴミとして出てきます。これが劣化ウランと呼ばれるものです。劣化という名前がついていますがれっきとしたウランです。当然、放射性物質であり、その半減期(放射線が半分になる期間)は45億年、つまり現在の地球の年齢と同じです。
濃縮ウランを30トン作ると160トンの劣化ウランがゴミとして出てきます。そして濃縮ウランを原発で燃やすと、もっと高レベルで危険な核廃棄物が生産されてしまいます。劣化ウランをはじめとしてどの核廃棄物も管理保存するのはとてもやっかいです。
アメリカは劣化ウランを兵器にすることを思いつきました。ウランは鉛よりも重い重金属です。また燃えやすく、3000〜4000℃の高温で激しく燃焼し、どんなに高性能の防塵マスクであっても防ぐことが出来ないほどの超微粒子となって拡散します。分厚い戦車の装甲を貫通する威力がある劣化ウラン弾を、アメリカは湾岸戦争で初めて使用し、イラク軍の戦車部隊は壊滅的な打撃を受けました。
劣化ウラン弾は、兵器としてみればその破壊力は非常に優れたものです。しかもその原料である劣化ウランは処理のやっかいな核のゴミです。アメリカ政府は兵器産業に、1トン1ドルで劣化ウランを払い下げています。劣化ウラン弾はその破壊力に加えてやっかいな核廃棄物の処理にもなり、しかも安価という一石三鳥の効果があります。
現在、劣化ウラン弾は通常兵器と同じ扱いで、ジュネーブ条約に抵触するという考えもあるものの使用に関する国際法上の制限はありません。この兵器が使われ続ける限り、劣化ウラン弾が使われた地域はもちろん、周辺地域にも放射能汚染が半永久的に続くことになります。