'05年8月14日
   リポート:小林 祐子

 8月14日、カタログハウス(渋谷区代々木)にて『日本人ジャーナリストとイラク人医師が語る 「マスコミでは決して報道されないイラクの真実」』と題して報告会が行われました。
 講演者はジャーナリスト・映画監督の綿井健陽さん、バスラの病院から長崎大学に6か月間の研修に来られた内科医(血液学)のイドリースさん、小児科医のモハメッドさんのお二人の医師。
 通訳は、映画監督の鎌仲ひとみさん、司会はJIM-NET事務局長の佐藤真紀さんで進められました。


 第一部「綿井健陽監督がみたイラク戦火の家族たち」では、綿井さんがイラクで撮影した映像を使い、講演が行われました。
 バグダッド(※どの地域か不明)の病院に運ばれる患者の映像からは、イラク戦争による被害だけでなく上から落ちてきた祝砲により腹部にケガを負ってしまった少年や、ほとんど強制的な結婚を強いられ、焼身自殺を図った女性など、イスラムの慣習によるものも見られました。
 人手が足りないので、病院の医療担当者が看護士一人のみという状況も映し出されていました。

 第二部「イラク医師が伝える医療の現場、その真相」では、イドリースさん、モハメッドさんの二人の医師にイラクの医療の実態を、パワーポイントを使いながらお話ししていただきました。

 イドリースさんのお話では、1990年、イラクの保健予算は90%削減され、イラク戦争により病院12%、産院30%、小児科の15%が破壊されたのだそうです。


左から イドリース医師、モハメッド医師、鎌仲さん、綿井さん

 そして現在、90%の病院の排水設備が機能していないそうです。この物資不足の状況では予防注射ができないので、感染症にかかる子どもが急増してい ます。5歳以下の感染症による1000人あたりの死亡率は、1990年では45人だったのが、1998年には125人となっています。

 モハメッドさんによれば、白血病の患者数は1989年から1998年にかけておよそ2倍になっており、5歳以下の罹患率がとても高いそうです。2003年に死んだ子どものうち、治療を始めてから一年に満たない子どもは21人でしたが、2004年は36人に増加。うち白血病患者は、2003年は70%でしたが2004年にはその他の癌も増えています。(ちなみにイラクで放射線治療ができるのはバグダッドのみ、ということです。)
 スライドで、白血病や神経芽細胞などのガンにかかってしまった子どもたちの写真をたくさん見せていただききました。その子どもたちのほとんどが亡くなってしまったそうです。

  ※さらに、イラクに投下された約2900トンの劣化ウランの影響が懸念されます。
劣化ウランによる発ガンの潜伏期間は5〜6年とされているので、今後、白血病患者がさらに増加することが予測されます。


 数えきれないほどある現在のイラク医療の問題点ですが、イドリース医師、モハメッド医師は、特に次のような点を問題として感じているとのことでした。

1、 湾岸戦争後、国連による経済制裁(1991〜2003)が原因で新しい医療技術が入らず、医療設備は1970年代のままであること
2、 イラクの医師は安全確保のため国外に流出しつつあること
3、 患者が病院に搬送されるまでの距離が長いこと
4、 イラク政府の視点が国民に向いていないこと
5、 唯一の物資救援を行ってくれるNGOが、地方に少ない(または皆無)であること

 モハメッドさんの説明が終わると、パワーポイントの画面に“THANK YOU!!”の文字が…。(写真参照)

 本当に、ありがとうございました!

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