'06年4月16日 報告会リポート



 当日は日曜の夜にもかかわらず、もう少しで立ち見が出そうなほど多数の来場者で会場は満席。
 司会・進行の鎌仲ひとみさんが口火を切った後、ヨルダンから帰国したばかりの佐藤真紀さんから、イラクにおける小児ガンや白血病とその治療、および薬品供給の現状、これに対するJIM-NETの取り組み、そして半年に一度のJIM-NETアンマン会議についての概況報告があった。
 続いて国井真波さんから、第4回JIM-NET会議のレポート。
 ヨルダンのアンマンで開催された今回の会議では、バグダッド、バスラ、モスルのイラク各都市ら10名の医師が参加した。そのうち5名の医師からのプレゼンテーションが行われたが、ジャナン医師によるバスラでのイブラヒム先生(JIM-NET現地スタッフ)による院内学級の取り組みの報告や、JIM-NETの井下医師とバグダッドのDr.イブラヒムを中心とする臍帯血バンク設置に向けての活動報告など、活発な議論やレポートが行われた。
 各医師の報告に共通して見られたのは、@院内感染から死亡に至るケースの減少、A薬不足(抗がん剤、抗生剤)B医療機器不足C患者の経済支援の不足、の4点。
 JIM-NETは2005年から2006年にかけて、感染症対策のため薬の供給や看護師研修を実施し、薬品・医療機器の提供などを行ってきた。今回の会議で報告された4点はいずれも、JIM-NETが大きな役割を果たしてきた、あるいは果たしつつある問題であり、今後もJIM-NETの活動に対するイラク側の期待がきわめて高いことが、今回のJIM-NET会議であらためて明らかになった。
 今回初めてアンマンでのJIM-NET会議に参加した国井さんの緊張と意気込みが伝わってくる、フレッシュなレポートだった。

  休憩の後、佐藤真紀さんから、イラク・ヨルダン国境のルウェイシェド難民キャンプで今も暮らす人たちの現状についての報告。ルウェイシェド難民キャンプや、ノーマンズ・ランド(No Man's Land)と呼ばれる国境地帯での難民の人たちの暮らしについて、写真やデータを示しながらのレポート。
 パレスチナ人、イラン系クルド人、ソマリア人など、さまざまな民族・国籍の人たちが、混迷する政治状況に翻弄されながら必死で生活しているようすが実感をもって伝わってきた。
 そんな中で、難民キャンプに暮らすディアラという14歳の少女が、非ホジキンリンパ腫の病状が悪化したため、ヨルダンの国立病院に入院したものの、治療らしいことはほとんどされないまま放置されていたのを、JIM-NETが関係当局にはたらきかけ、医療を受けられるようにすることができた話が紹介された。
かつて日本政府は1億円の費用をかけて自衛隊機でこの地にテントを運んだ。その一部は今も使われてはいるが、日本政府の姿勢を示すという側面が重視されたため、現地にもたらされた効果という点からは疑問が残る。特に支援のほとんど届かないノーマンズランドでは、人々の生活は困難をきわめている。
 実際に足を運んで現地の人たちのニーズをすくい上げ、関係諸機関との迅速な連携プレーによって、患者に必要な医療を提供することに成功した佐藤さんの今回の活動は、高額の費用をかけなくとも、地道な活動によって国際支援が実効を挙げることができることを、身をもって示してくれた。
 さらに佐藤さんは、以前からその生活を見守ってきたある難民家族の受け入れ国となったデンマークに足を伸ばす。風俗・習慣のまったく違う国での新しい暮らしにとまどいながらも、懸命に生きていこうとする家族ひとりひとりのようすが写真とともにレポートされた。特に大人より一足早く新生活に順応しつつあるように見える子どもたちの姿は、生き生きとしてほほえましいものがあり、このまま順調に成長していってほしいと願わずにはいられなかった。

 最後に、JIM-NET構成団体の一つとしてCADU-JPが今後課題とする支援として、司会進行の鎌仲さんから、経済的に困窮している患者の通院支援の問題が提起された。
イラクの治安が悪化し、安心して通院することも難しく、不用意に現金を提供すれば強盗のターゲットとなりかねないような現状の中で、どのような支援が現地の人たちにとって最良かを、会場の参加者も交えて議論しながらの提案が行われた。
  会場からは、「政府や国際機関が動かない限り、有効な支援は難しいのでは?」という声も聞かれた。しかし、予定時間を超過しての活発な議論が交わされる中で、「大きな組織が動き出すまで待っているより、たとえ小さなことでも、できることから、人々のニーズに耳を傾けながら、柔軟かつ臨機応変に」という通院支援の基本方針が明確になった。
 バレンタインデー・ホワイトデーに展開された「限りなき義理の愛作戦」でのチョコ販売の成功にならい、通院支援のためのグッズ販売が提案され、会場からもユニークなグッズのさまざまなアイデアが提案された。このグッズ販売については、現在もアイデア募集中。皆様からのユニークなアイデアをお待ちしています!

写真:井上 真理子(CADU-JP)

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